照明デザイナー石井幹子さん/Mikiko Ishii, Lighting Designer

ちょうど家族が石井幹子さん照明によるプッチーニの「蝶々夫人」を観たいな、と言っていたところ、その照明デザイナー石井幹子さんについても読む機会があった。
東京タワー、東京駅、六本木ヒルズ浅草寺などのライトアップをプロデュースしてきた日本における照明の第一人者である彼女は、この読み物の中でもたくさん興味深いことを語っていた。


石井さんがヨーロッパ留学から帰国したのは1968年。なんと今から37年も前のこと。日本から助手志望の手紙を書き、採用されるところからチャレンジしたというガッツの持ち主。日本の夜景を美しいものにしていかなくては、という使命感が実り始めたのは80年代半ば。彼女が帰国してから既に約20年。建築界やデザイン界が注目しはじめてからも10年かかったそう。彼女が言うには、日本にはかつてより「提灯」や「花火」など「豊かなあかりの文化」がある国なのだそうで、あかりを楽しめる場所が東京にも増えているそうです。


彼女のインタビューの中で驚かされた発想は、「私は宇宙旅行に行きたいと思っています。一度でいいから、宇宙で星や月や地球の反射光を見てみたい。たぶん月も違って見えるんじゃないですかね」。というもの。なるほど。それも光の見え方。「東京にはハンサムや美人が多いなと思うように地下鉄の照明なども工夫したらどうか」という彼女のなにげない一言に、あぁ、東京がそんな風に大人を美しくしてくれる都市になったらなぁ…と思うのは私が女性だからかな。これはヨーロッパなんかに旅したことがある人ならすぐに思うことだろうけど、薄明かりの下のレストランやカフェ、いいですよね。見えすぎないところにムードがでる。雰囲気の美しさも楽しめる。